立派に見える僧侶の袈裟ですが

袈裟の色

袈裟はなぜあんな色をしているのでしょうか。

インドで釈尊(お釈迦様)が説法を行っていた頃、同じく仏弟子たちも釈尊の 教えである人間の生きる道を人々に説いてまわっていました。 悩みを持った人や迷いのある人に仏の教えを説き、生きるための智慧や 正しい生き方をする方法を授けていたのです。 自分で生産活動を行ってはいない僧侶は、衣食をそういった人々に施して もらっていました。 仏弟子たちは釈尊の説かれた法を人々に施す(法施)かわりに、 財を施してもらうのです。 これを財施といいます。 そんなある日、いつものように説法をして家々をまわっていたときのことです。 その家は貧しい家で、 「私の家は貧乏でお坊様に差し上げる物はなにもありません。 差し上げられる物といえば、赤ん坊のおしめに使っているこの布ぐらいです。 このような物でもよければ。」と汚れた布を差し出しました。 お坊さんはありがたく、糞に汚れて黄色くなっている布をいただきました。 そしてそのような布を寄せ集めると、つぎはぎだらけの着衣を作って着たのです。 袈裟は小さな布をつぎはぎして作られていますが、もともとはこのように 不要になったり捨ててある布を引き裂いてつなぎ合わせて作られていたのです。 現在でも僧侶が着ている袈裟をよく見てみると、基本の色は黄土色なのが わかるでしょう。 僧侶が黄色いお袈裟を着ているのはこういう起源によるもので、 袈裟のことが糞掃衣(ふんぞうえ)と呼ばれる由来なのです。