僧侶の袈裟
袈裟とは仏教の僧侶が身にまとう布状の衣装のことです。
袈裟は赤褐色の意味を持つサンスクリット語のカシャーヤを音訳したもので、
糞掃衣、福田衣とも呼ばれます。
その起源はインドの仏教僧侶が身にまとっていた布です。
本来出家した僧侶は財産となるような私有物を持つことが禁じられており、
衣服もその例外ではなく、そのために使い道が無くなり捨てられたぼろ布や
汚物を拭うくらいしか用の無くなった端布を拾い集めて綴り合せ、
身を覆う布を作ったことが始まりでした。
白い布をまとっていた在家者と区別するため、草木や金属の錆を使って
黄土色や青黒色に染め直され、昔は両肩を含め全身を覆うように着用しましたが、
現在では特別な場合を除いては右肩は出すようになっています。
左肩を隠すのは左手が不浄であるとされているためで、片掛けとするのは
如来が両肩を覆って着用しているのに対して、仏への崇拝と畏敬の念を
表すためとされています。
福田衣と呼ばれる由来はその昔、釈尊(お釈迦様)の説法によって
仏教に帰依した王舎城のビンビサーラ王という人が、釈尊に服制を定めるよう
お願いした時に、釈尊は傍にいた阿難尊者をかえりみながら水田を眺めて
「あのようにするが良いであろう」と言われたことからきています。
水田法は釈尊のご指導によって始められたもので、稲の植えられた水田の
大事なことはビンビサーラ王もよく分かっていました。
水田に種をまけば実りがあるように、法の種をまけば福徳の実りがあるとの
教えということです。