立派に見える僧侶の袈裟ですが

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

このことわざをきいたことのない人はいないでしょう。

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の意味は、ある人を憎いと思うとその人に 関係のある全ての物が憎く思えてしまうというたとえです。 坊主が憎いと思う人は坊主だけでなく、坊主の衣装である袈裟までも憎くなる、 ということです。 坊主とは仏教を広める為にお寺に住む者で、僧侶、住職などの呼び名があります。 袈裟とは、仏教の僧が着ている服の上に左肩からかける長方形の布のことです。 昔から僧侶の特徴的な物ということで、このようにことわざにも使われるように なったのでしょう。 なぜ坊主を例にあげてたとえることわざになったのかを考えてみると、 お坊さんは仏教に関わり、多くの人に人生などについての説教をすることも 昔からありましたので、そういった説教を嫌った人も多かったのでは ないかと考えられます。 ありがたいお話でも、興味のない人にとっては耳の痛い、煩わしい説教と 同じだったのでしょう。 そのような人の中には、僧侶のシンボルで派手な袈裟を嫌った人も少なからず いたのではないかと考えられます。 また明治の初めには廃仏毀釈運動に伴って僧侶の立場が危なくなり、 仏教への批判も増えました。 それがこのことわざが広まった理由としてあるかもしれません。 廃仏毀釈運動は、はいぶつきしゃくうんどうと読み、 尊王攘夷の考え方が元となって明治初期に起きた仏教廃止運動です。 当時の王政復古宣言下、神仏分離政策の影響で各地の寺院や仏具、 経文などの破壊活動が行わました。